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徳富猪一郎(とくとみいいちろう)に鵺(ぬえ)と罵倒された新島八重

徳富蘇峰(とくとみそほう)
*徳富蘇峰(徳富猪一郎)

新島襄は妻である八重を対等に扱い、ひとりの人間として尊重していました。人力車に乗るときは、八重の手をとりレディーファーストで先に乗せました。八重を呼ぶときは「八重さん」と「さん」をつけて呼び、丁寧な言葉で会話をしていたのです。


八重は夫である新島襄のことを「ジョー」と呼んでいたため、あたかも男女の立場が逆転したかのような錯覚を周囲に与えていました。男尊女卑の意識が強いこの時代、このような八重の態度は男性にとって我慢のならないものでした。


熊本バンドのひとりである徳富猪一郎(とくとみいいちろう)のちの徳富蘇峰は、同志社で行われた演説会で八重を「鵺(ぬえ)のようだ」と罵倒します。鵺(ぬえ)とは、平家物語に登場する頭は猿、手足は虎、尾は蛇の形をした怪物のことです。


八重は外出するときは、着物に革靴を履き、頭には西洋風のつば広帽子をかぶっていました。このような姿は当時としては異様にうつったことでしょう。胴体は和風、頭と足は洋風の姿をした八重を鵺に例えて攻撃したのです。


この演説会には、襄と八重も出席していたのですが、徳富猪一郎から名指しで批判された八重は動じることなくこれを聞き流したそうです。