ジャンクワードドットコム・歴史と暮らしのポータルサイト

2026.02.17

柏市郷土資料展示室で縄文土器の展示を満喫!出山遺跡発掘調査速報展を徹底解説

2026年2月10日、柏市役所沼南庁舎内にある柏市郷土資料展示室を初めて訪問しました。現在開催されている第31回歴史企画展「出山遺跡発掘調査速報展」では、縄文土器の展示が非常に充実しており、中期から後期の出土品を無料で見ることができます。この記事では、現地での体験をもとに、展示の見どころやアクセス方法を詳しくお伝えします。

-・- 目次 -・-
  • 柏市郷土資料展示室による縄文土器の展示と企画展の見どころ
    • 20点を超える縄文土器が並ぶ中央スペース
    • 受付での確認により展示室内の写真撮影とブログ掲載の許可を得ることができました
  • 出山遺跡の1万年にわたる歩みと縄文土器の展示から知る当時の生活
    • 出山遺跡は中期後半に最大規模となり糸魚川産のヒスイを用いた交易も行われていた
    • 遺構分布図に記された住居や落とし穴の跡から当時の村の風景を想像する
  • 常設展示室で確認できる柏の歴史と銀象嵌装大刀
    • 大室・きつね山古墳出土の銀象嵌装大刀はヤマト政権との関わりを示す重要な資料
    • 常設展示は小規模ながらも古代から近代までの柏の歴史を一通りたどることができます
  • 縄文時代と縄文土器をより深く知るための基礎知識
    • 縄文時代は土器の使用により食生活の安定と定住化が進んだ1万年以上の歴史を持つ
    • 縄文土器は、野焼きによる赤褐色や黒褐色などの温かみのある色調と、力強い縄目の装飾が特徴
    • 弥生土器は機能性を重視して薄手で高温焼成されるなど縄文土器とは製作技術が異なる
  • 柏駅から柏市郷土資料展示室へのアクセス
    • 柏駅東口から東武バスで沼南庁舎バス乗継場へ
    • 観覧を終えて
    • 開催情報

柏市郷土資料展示室の入り口 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)
柏市郷土資料展示室の入り口 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)

柏市郷土資料展示室による縄文土器の展示と企画展の見どころ

縄文土器の展示が主役となる今回の企画展は、出山遺跡から見つかった貴重な資料が多数並んでいます。

20点を超える縄文土器が並ぶ中央スペース

出山遺跡発掘調査速報展の縄文土器展示 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)
出山遺跡発掘調査速報展の縄文土器展示 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)

展示室の入口から左手に進むと、出山遺跡の資料が並ぶ企画展のエリアが迎えてくれます。まず目を引いたのは、中央のスペースに配置された土器の多さでした。大小さまざまな形をした縄文土器が20点以上も並ぶ光景は、資料館の規模から想像していたよりも密度が高く、見応えがあります。

壁側の展示ケースにも多くの資料が収められており、縄文時代中期から後期にかけての変遷を辿ることができます。土器の一つひとつが持つ独特の文様や力強い造形を近くで眺めることができ、土器の形や質感が好きな人にとって、時間を忘れて観察を楽しめる空間だと感じました。

受付での確認により展示室内の写真撮影とブログ掲載の許可を得ることができました

展示を観覧しているうちに、この様子をブログでも紹介したいと考え、受付で写真撮影と掲載の可否を相談しました。受付の方がすぐに担当の方へ電話で確認を取ってくださるという、手際の良い対応をしていただいたおかげで、スムーズに許可をいただくことができました。

こうして承諾を得られたことで、展示の雰囲気をより正確に記録し、皆さんにお伝えできるようになりました。協力してくださった展示室の方々に感謝しながら、撮影した写真を掲載させていただきます。

出山遺跡の1万年にわたる歩みと縄文土器の展示から知る当時の生活

詳細なパネル解説や縄文土器の展示を通して、出山遺跡における人々の暮らしの変遷を辿ることができます。早期から後期までの集落の移り変わりを視覚的に理解できる内容です。

出山遺跡は中期後半に最大規模となり糸魚川産のヒスイを用いた交易も行われていた

展示パネルでは、1万年におよぶ出山遺跡の変遷を順を追ってたどることができました。柏市で縄文時代のムラが確認されるのは早期からですが、中期初めまで人々がどのような暮らしをしていたのかは、まだ謎が多いのだそうです。

定住が進まなかった理由について、展示を見ながら当時の状況に思いを巡らせてみるのも、遺跡展ならではの楽しみです。

中期の中頃になるとムラが大きくなって環状集落が形成され、中期後半には集落が最大規模に達します。会場では新潟県糸魚川産のヒスイ製大珠(たいしゅ)も見つかったと紹介されており、当時の人々が遠方と活発に交易していた様子がうかがえます。

その後、後期に入ると規模が縮小し、後期中頃には集落がつくられなくなったという流れを知り、気候の変化などが生活に与えた影響の大きさを感じました。

遺構分布図に記された住居や落とし穴の跡から当時の村の風景を想像する

柏市郷土資料展示室「出山遺跡発掘調査速報展」パネル展示の遺構分布図 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)
柏市郷土資料展示室「出山遺跡発掘調査速報展」パネル展示の遺構分布図 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)

展示パネルに掲示されている遺構分布図には、竪穴住居跡や炉穴、落とし穴の位置が地図上に詳しく記されています。図面を眺めていると、当時の人々がどこに住まいを構え、どこで調理や狩りを行っていたのかという生活の配置が見えてくるようです。記号の一つひとつが、数千年前の地表面に残された確かな営みの痕跡であることを伝えてくれます。

縄文時代早期から後期にかけての分布図を比較することで、集落の範囲が時期によってどのように移り変わっていったのかを視覚的に追うことが可能です。

ある時期には一箇所に固まっていた住居が、別の時期にはどのように移動していったのか。図面上で記号の密度が変化していく様子は、時の流れとともに形を変えてきたムラの歴史を具体的にイメージする助けになりました。

常設展示室で確認できる柏の歴史と銀象嵌装大刀

展示室の右側には、柏の歩みをコンパクトに紹介する常設展示があります。こちらでは古墳時代の重要な資料である銀象嵌装大刀(ぎんぞうがんそうたち)が見どころとなっています。

大室・きつね山古墳出土の銀象嵌装大刀はヤマト政権との関わりを示す重要な資料

常設展示の中でも目を引くのが、大室・きつね山古墳から出土した銀象嵌装大刀です。事前に柏市のホームページで紹介記事を読んでいたので、「どんな刀なのだろう」と実物を見るのを楽しみにしていました。

柏市郷土資料展示室の常設展示 大室・きつね山古墳出土の銀象嵌装大刀(ぎんぞうがんそうたち) 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)
柏市郷土資料展示室の常設展示 大室・きつね山古墳出土の銀象嵌装大刀 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)

展示されている大刀は、長い年月のあいだに錆が進み、肉眼では銀象嵌の細かな装飾まではっきりと見分けることはできませんでした。それでも、「当時のヤマト政権から、この地域の有力者に授けられたと考えられている刀」と説明を読むと、その存在が持つ重みが一気に増して感じられます。かつての柏が中央の政権と繋がっていたことを示す貴重な資料です。

常設展示は小規模ながらも古代から近代までの柏の歴史を一通りたどることができます

常設展示のエリアでは、柏の歴史が時代ごとに整理されています。大規模な施設ではありませんが、原始から古代、中世、そして近現代へと続く地域の歩みを一通り辿れるようになっていました。各時代の特徴がコンパクトにまとめられているため、要点を押さえて見学するのにちょうど良いボリュームだと感じます。

展示されている資料はどれも地域に根ざしたもので、自分たちが暮らす土地がどのような変遷を遂げてきたのかを伝えてくれます。企画展で見学した縄文時代のムラの様子が、その後の時代へとどのように繋がっていくのか。その大きな流れを俯瞰して理解するのに、この常設エリアは適した場所でした。

縄文時代と縄文土器をより深く知るための基礎知識

展示の内容をより深く理解するために欠かせない、縄文時代全般に関する知識をまとめました。時代背景を知ることで、土器の見え方も変わってきます。

縄文時代は土器の使用により食生活の安定と定住化が進んだ1万年以上の歴史を持つ

縄文時代は約1万6500年前から、水田稲作が本格化する約3000〜2400年前までという、非常に長い歳月にわたって続きました。これほど長期間にわたり狩猟や採集、漁労を基盤とした社会が維持された例は、世界的にも珍しいのだそうです。出山遺跡の展示を眺めていると、長い時間の流れの中で人々が着実に生活の基盤を築いてきた歩みが伝わってきます。

この時代の大きな転換点のひとつは、土器の登場によって食生活の幅が広がり、より安定したと考えられることです。煮炊きができるようになったことで、それまでは利用が難しかった食材も活用しやすくなり、栄養を確保する手段が増えました。

食料の保存や加工も容易になったことは、人々が一つの場所に腰を据えて暮らす定住生活へと移行していくうえで、大きな要因のひとつになったと考えられます。自然を敬い、共生しながら1万年以上も独自の文化を育んできた当時の人々の精神性に、改めて関心を抱きました。

縄文土器は、野焼きによる赤褐色や黒褐色などの温かみのある色調と、力強い縄目の装飾が特徴

会場に並ぶ土器を一つずつ見ていると、その独特な色合いや質感に引き込まれます。縄文土器は野焼きという方法で焼かれているため、赤褐色や黒褐色などの色合いになるものが多いのが特徴です。厚手でどっしりしたものが多く(時期や用途によっては薄手の精巧な土器もある)、当時の人々が手仕事で作り上げた力強さが伝わってきました。

装飾についても、やはり縄目の文様が目を引きます。ただ一言に縄目と言っても、そのパターンは非常に多彩なもの。道具としての機能に留まらず、作り手のこだわりや美意識さえも反映されているように感じました。深鉢や浅鉢など、用途に合わせた形状のバリエーションも実に豊富。生活に根ざした造形美をじっくりと観察できました。

弥生土器は機能性を重視して薄手で高温焼成されるなど縄文土器とは製作技術が異なる

縄文土器の装飾性に富んだ姿を眺めた後で、その後の時代に現れる弥生土器との違いについても考えてみました。縄文土器が厚手で芸術的な造形を追求している側面があるのに対し、弥生土器は装飾を抑えたシンプルで洗練された形が中心。実用性を重んじる価値観への変化が、その姿に現れているように感じました。

製作技術の面でも、弥生土器は大きな進化を遂げています。野焼きよりも高い温度で焼き締めることができるようになったため、薄手でありながら十分な強度を備えているのが大きな特徴です。それぞれの時代が求めた美しさや使い勝手の違いを比較してみることで、当時の社会がどのように変化していったのかを想像する手がかりになります。

柏駅から柏市郷土資料展示室へのアクセス

縄文土器の展示を観覧するために柏駅からバスを利用する際の経路や注意点をまとめました。初めて訪問する方でも迷わず到着できます。

柏駅東口から東武バスで沼南庁舎バス乗継場へ

柏駅東口のバス1番乗り場と東武バス 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)
柏駅東口のバス1番乗り場と東武バス 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)

柏駅東口の1番乗り場から東武バスに乗車します。乗り場は、駅を背にして右側のエリアの一番奥にあります。時刻表を確認したところ、9時〜16時の時間帯は、おおむね10分間隔でバスが運行されていました。

降車するバス停は「沼南庁舎バス乗継場(のりつぎじょう)」です。ただし、系統によってはこのバス停に停車しない便もあるため、その場合は「大木戸」で下車する必要があります。

前もって柏市のホームページ「柏市郷土資料展示室への行き方(柏駅からバス)」でバス停などの情報を確認しておいたおかげで、現地でも迷わずに済みました。。平日の利用でしたが、思ったより乗客が多く、利用する方が多い路線です。乗車時間は20分ほどが目安ですが、私が帰りに利用した際は道路が混雑しており25分ほどかかりました。

バスの乗り方は後ろのドアから乗って前のドアから降りる方式で、PASMOなどの交通系ICカードが利用可能です。乗降時にそれぞれ読み取り機へタッチするだけで精算できるため、スムーズに利用できました。

「沼南庁舎バス乗継場(のりつぎじょう)」のバス停 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)
「沼南庁舎バス乗継場(のりつぎじょう)」のバス停 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)

沼南庁舎バス乗継場で降りると、左前方に柏市役所沼南庁舎が見えるのですぐに分かります。徒歩約1分で建物に到着できる距離でした。帰りの柏駅行きバス停もすぐ横にあり、迷うことなく往復の移動が可能です。

柏市役所沼南庁舎の外観 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)
柏市役所沼南庁舎の外観 撮影:junk-word.com(爆点日本史編集部)

観覧を終えて

今回の柏市郷土資料展示室への訪問は、柏の地域史を知るきっかけになりました。出山遺跡から出土した縄文土器が並ぶ様子は、1万年という長い時間の流れを感じさせてくれます。常設展示の銀象嵌装大刀については、錆びて細かな装飾まで見ることは叶いませんでしたが、実物を自分の目で確認できたのは良かったです。

私は図録を読むのが好きなので、出山遺跡発掘調査速報展の図録がないか沼南庁舎で伺ってみましたが、残念ながら販売されていませんでした。

今回の展示は、縄文土器が多数展示されているため、土器が好きな方には特におすすめできます。無料で見学できる展示としては内容が充実しており、地域の歩みをじっくり振り返ることができた一日でした。こうした資料館を訪れることで、その土地がどんな歴史を積み重ねてきたのか、もっと知りたいという気持ちが強くなっています。

開催情報

企画名 第31回歴史企画展「出山遺跡発掘調査速報展
主催 柏市郷土資料展示室
会期 2025年12月24日(水曜日)から2026年3月8日(日曜日)
会場 柏市郷土資料展示室(千葉県柏市大島田48番地1 沼南庁舎2階)
開館時間 9時30分~17時00分
入館料 無料

旧石器時代の流れを、マンガでサッとおさらいできる無料コンテンツを公開しています。試験によく出る重要ポイントを、マンガを読みながらチェックできます。ぜひご活用ください。