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2026.06.09

東京国立博物館「ビフォー縄文 旧石器時代発見80周年」で知る岩宿遺跡と日本の旧石器文化

日本の歴史は縄文時代から始まると長らく考えられてきました。しかし今から80年前、その常識を覆す歴史的発見が群馬県でもたらされました。東京国立博物館ではこの歴史的転換点から80年の節目を記念した特別企画「ビフォー縄文 旧石器時代発見80周年」が開催される予定です。土器を持たず移動しながら狩猟を行っていた旧石器時代の人々の足跡を、貴重な発掘資料から紐解いていく内容となっています。教科書でおなじみの事実がいかにして証明されたのか、その発見のドラマに触れることができる展示です。

目次
  • 縄文時代より前の歴史に光を当てる特別展示
  • 赤土の常識を覆した発見の軌跡
  • 日本と世界の旧石器文化を比較する
  • 現代によみがえる当時の暮らしと技術
  • 開催情報
  • 関連イベント
  • 岩宿遺跡の発見がもたらした日本史の転換点
  • 行商の合間に情熱を燃やした相澤忠洋
  • 明治大学による発掘調査と学術的な証明

岩宿遺跡と日本の旧石器文化をイメージした画像 作成:junk-word.com(爆点日本史編集部)【歴史ニュース】
岩宿遺跡と日本の旧石器文化のイメージ画像(生成AI) 作成:junk-word.com (爆点日本史編集部)

縄文時代より前の歴史に光を当てる特別展示

赤土の常識を覆した発見の軌跡

かつて日本の考古学界には、火山灰が堆積した赤土の地層に人が生活できるはずがないという定説がありました。1946年(昭和21年)、群馬県在住の相澤忠洋氏が岩宿の崖で黒曜石の欠片を見つけたことがすべての始まりとなります。

本展の序盤では日本の旧石器時代発見のきっかけとなった相澤氏の採集資料が紹介される予定です。縄文時代の指標である土器が見つからず、石器だけが採集された事実が旧石器時代の証明へとつながっていく過程をたどることができます。

日本と世界の旧石器文化を比較する

約4万年前に始まる日本の旧石器時代は、寒冷な気候のなかでナウマンゾウなどの大型動物や小動物を狩る移動生活が中心でした。展示ではそうした暮らしのなかで発達した狩猟具が並ぶ予定です。同時に日本の研究者が参考にしたヨーロッパやアジアの代表的な石器も紹介されます。

フランスで採集された約45万~35万年前のハンドアックスやインドのクリーヴァーなど、世界各地の石器と比較することで人類の道具づくりの歴史を広い視野で捉える構成となっています。日本と世界各地で展開した石器文化の広がりを確認できます。

現代によみがえる当時の暮らしと技術

石器の研究においては実際に石を打ち割る復元製作も重要なアプローチです。

本展ではどのような道具を使って石器を加工していたのか、技術の解明を目指して復元された狩猟具のレプリカも展示される予定です。さらに発掘調査の研究成果をもとに岩宿遺跡の当時の景観を再現したジオラマも公開されます。

日当たりの良い水辺にテントを立てていたと考えられる人々の生活風景が視覚的にわかりやすく表現される見込みです。遠い昔の人々がどのような環境で日々を過ごしていたのか想像を膨らませてみてください。

開催情報

展示名 特別企画「ビフォー縄文 旧石器時代発見80周年
主催 東京国立博物館
会期 2026年6月16日(火)~8月23日(日)
開館時間 9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで。一部曜日・期間は延長あり)
観覧料 一般1000円、大学生500円
休館日 月曜日、7月21日(火)(ただし7月20日(月・祝)、8月10日(月)は開館)

関連イベント

イベント名 月例講演会「東京国立博物館で見る『旧石器時代』の魅力
日時 2026年7月11日(土)13時30分~15時00分
講師 安蒜政雄(明治大学名誉教授)、飯田茂雄(文化財活用センター企画担当主任研究員)
場所 平成館大講堂
定員 380名(事前申込制、応募者多数の場合は抽選)
備考 聴講無料(当日の入館料が必要)。申込締切6月14日(日)23時59分。開場は13時00分を予定。

岩宿遺跡の発見がもたらした日本史の転換点

本展のテーマである旧石器時代の発見について歴史的背景を少し掘り下げてみましょう。当時の発掘をめぐるドラマを知ることは、展示される石器を楽しむための前提知識となります。

行商の合間に情熱を燃やした相澤忠洋

教科書でも取り上げられる岩宿遺跡ですが、その第一発見者は専門の学者ではありませんでした。相澤忠洋氏は行商を行いながらその合間を縫って考古学の研究に没頭した人物です。

1946年(昭和21年)、彼は岩宿の崖で黒曜石の欠片を採集し、さらに1949年(昭和24年)には、槍先形尖頭器を発見しました。

これは槍の先端に装着して狩猟などに使う道具で、この石器の存在が縄文時代より前の人類の営みを裏付ける証拠となったのです。

当時の定説を疑い自らの足で歩き続けた相澤氏の執念が日本の歴史を大きく遡らせました。

相澤忠洋氏が発見した槍先形尖頭器は、旧石器時代の取材時に岩宿博物館を訪れ鑑賞しました。とてもキレイな石器で印象に残っています。岩宿博物館に撮影・動画使用の許可をいただき、「葵ちゃんと学ぶ爆点日本史 旧石器時代」の動画版で紹介していますので、ぜひご覧ください。

明治大学による発掘調査と学術的な証明

相澤氏の採集した石器にいち早く着目したのが明治大学の芹沢長介氏と杉原荘介氏でした。彼らは日本における旧石器時代の存在を直観し、1949年から1950年(昭和25年)にかけて明治大学考古学研究室による岩宿遺跡の発掘調査が行われました。

その結果、関東ローム層の赤土の地層から多数の石器が出土し旧石器時代の存在が学術的に証明され、さらにこの調査では刃先が磨かれた石斧も発見されています。

磨製技術はそれまで縄文時代以降の特徴とされていましたが、岩宿遺跡の発見により日本の後期旧石器時代初頭における独自の文化的特徴として評価されることになります。

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