企業へ問い合わせたとき、自動音声の案内やチャットボットに行き当たることが増えました。簡単な質問なら短時間で解決することもありますが、少し込み入った内容になると話が進まず、結局は人間のオペレーターにつないでもらうことがあります。
私も通信会社のコールセンターに問い合わせた際、自動音声やチャットボットでは問題を解決できず、人間のオペレーターにつながるまで長時間待った経験が何度もあります。ようやく担当者につながっても、それまで入力した内容や説明した事情が十分に引き継がれず、最初から説明し直すこともありました。
2026年9月15日にGoogleが発表したGemini 3.8 Liveは、利用者と会話を続けながら情報を調べ、必要な処理を進められる音声AIです。これまで役に立たないと感じることも多かった自動音声は、生成AIによって本当に使いやすくなるのでしょうか。
- AI電話対応で「役に立たない自動音声」は変わるのか
- これまでの自動音声は複雑な問い合わせに弱かった
- 生成AIなら「会話を理解して作業する」ところまで進められる
- Gemini 3.8 Liveは電話対応をどう変えるのか
- 会話しながら情報確認や手続きを進められる
- 複雑な問い合わせほど違いが出る可能性がある
- 日本語にも対応し、会話途中で言語を切り替えられる
- Gemini 3.8 Liveの音声処理にはいくらかかる?
- 10分約0.23ドルはAIモデルの利用料
- AIが賢くなっても問い合わせ対応が良くなるとは限らない
- AIが契約情報を見られなければ答えられない
- AIにどこまで手続きを任せるかは企業側が決める
- 人間へ引き継ぐときに説明を繰り返さなくて済むか
- AIで人を減らすだけでなく、必要なところに人を増やす選択もある
- AI電話対応で利用者が本当に期待したいこと
- AI電話対応で利用者の負担は本当に減るのか
- Gemini 3.8 Liveで確認したいのは実際の導入後の体験

AI電話対応で「役に立たない自動音声」は変わるのか
これまでの自動音声は複雑な問い合わせに弱かった
従来の自動音声では、「料金については1を」「契約変更については2を」といった形で、あらかじめ用意された選択肢から問い合わせ内容を絞り込む方式がよく使われています。
従来型のFAQチャットボットには、登録されたFAQや想定された質問をもとに回答する仕組みがあり、よくある問い合わせを処理する用途では便利です。
問題になるのは、利用者の事情が想定されたパターンから外れた場合です。
たとえば、「契約プランを変更したのに料金が以前と変わらない」「複数の契約があり、どの契約に請求が発生しているのか分からない」といった問い合わせでは、一般的な料金説明だけでは解決できません。
契約状況や手続き履歴を確認しながら話を進める必要があるため、自動対応では処理できず、人間のオペレーターへ引き継がれることがあります。
利用者からすると、困っているから問い合わせているのに、Webサイトを検索すれば分かるような説明だけを繰り返されても問題は解決しません。
生成AIなら「会話を理解して作業する」ところまで進められる
生成AIを使った新しい電話対応で変わりそうなのは、利用者の言葉を理解するだけで終わらず、その内容に応じて別の処理を実行できる点です。
Gemini 3.8 Liveでは、利用者と音声で会話を続けながら、APIやツールを使った別の処理を裏側で進めることができます。Googleはこの仕組みを「非同期の関数呼び出し」と説明しています。
利用者が契約について問い合わせた場合、問い合わせ内容を聞き、本人確認を行い、契約情報を調べ、必要な手続きを確認し、可能なら処理を進めるところまでAIが担当できる可能性があります。
従来の自動音声との大きな違いは、「どのメニューを選ばせるか」ではなく、「利用者が何に困っているのかを会話から理解し、その後の作業まで進められるか」にあります。
Gemini 3.8 Liveは電話対応をどう変えるのか
会話しながら情報確認や手続きを進められる
Gemini 3.8 Liveの特徴の一つが、利用者との会話を止めずに別の作業を進められることです。
たとえば、AIが契約情報を確認している間も、「いま契約状況を確認しています」「最近プランを変更しましたか」と会話を続けることができます。
生成AIが企業の顧客管理システムや予約システムなどと連携すれば、会話と処理を一つの流れとして進められるようになります。
音声が自然になったこと以上に、この「話しながら仕事を進める」という能力が、電話対応を変えるポイントになります。
複雑な問い合わせほど違いが出る可能性がある
新しい音声AIの実力が分かりやすいのは、FAQでは答えられない問い合わせです。
たとえば、「先月解約したはずなのに、今月も料金が引き落とされています」という問い合わせを考えてみます。
従来の自動音声なら、解約方法や請求日の説明を案内して終わるか、人間のオペレーターへ回すケースが考えられます。
AIが企業のシステムと連携していれば、契約状況、解約日、請求履歴などを確認しながら、「なぜ請求が発生したのか」まで調べられる可能性があります。
さらに処理権限が与えられていれば、その場で訂正や返金手続きへ進めることも考えられます。ここまでできれば、利用者にとっては「自動音声」というより、電話口にAIの担当者がいる感覚に近づきます。
日本語にも対応し、会話途中で言語を切り替えられる
Gemini 3.8 Liveは日本語に対応しています。GoogleのLive API公式ドキュメントでは、日本語を含む97言語をサポートしており、会話の途中でも自然に言語を切り替えられると説明しています。
日本語で利用できるため、日本企業の電話対応にも組み込みやすく、外国語の問い合わせにも同じAIで対応できる可能性があります。
Gemini 3.8 Liveの音声処理にはいくらかかる?
10分約0.23ドルはAIモデルの利用料
Googleの料金では、Gemini 3.8 Liveの音声入力が1分0.005ドル、音声出力が1分0.018ドルです。音声入力と音声出力が10分間続く前提で計算すると、合計は約0.23ドルになります。
この価格で利用できるなら、営業時間外の問い合わせや予約変更、契約内容の確認など、人が対応してきた業務にもAIを導入しやすくなります。
約0.23ドルは、Geminiが音声を聞いて返答するための利用料です。実際に企業が電話対応サービスとして使うには、電話回線や顧客情報との連携、システム開発などの費用が別にかかります。
10分約0.23ドルという数字から分かるのは、電話対応に使うAIモデルの音声処理費用が低くなってきたことです。実際の導入費用は企業のシステム構成によって変わりますが、AI電話対応を導入できる業務の範囲は広がりそうです。
AIが賢くなっても問い合わせ対応が良くなるとは限らない
AIが契約情報を見られなければ答えられない
利用者が知りたいのは、一般的な説明ではなく、自分の契約内容や請求状況です。
AIが企業の顧客情報や契約履歴、請求情報を確認できなければ、どれだけ自然に会話できても、利用者ごとの問い合わせには十分に答えられません。
AI電話対応を実際に役立つものにするには、会話能力だけでなく、必要な顧客情報を確認できる仕組みも必要です。
AIにどこまで手続きを任せるかは企業側が決める
情報を見ることができても、AIが実際に操作できるとは限りません。
住所変更や予約変更なら自動化しやすくても、解約、返金、契約変更などでは企業ごとに確認手順や判断基準があります。
本人確認をどの範囲まで行うのか、AIにどの操作を許可するのかは企業側が決めます。誤った処理が起きた場合の対応方法もあらかじめ決めておくことになります。
AIが「できること」と、企業がAIに「やらせること」には差が生まれます。
利用者にとって重要なのは、モデルの性能表ではなく、自分が問い合わせた問題をどこまでその場で処理してもらえるかです。
人間へ引き継ぐときに説明を繰り返さなくて済むか
私が特に改善してほしいのは、人間のオペレーターへ引き継ぐときの対応です。
自動音声やチャットボットで何度も質問に答えたあと、人間のオペレーターにつながり、再び名前や問い合わせ内容を最初から説明する。この流れは、利用者にとってかなり負担になります。
AIだけですべての問い合わせを処理できなくても、何について困っているのか、何を確認したのか、どこまで処理したのか、何が解決していないのかを整理して人間へ渡せれば、利用者は同じ話を繰り返さずに済みます。
AIが問題を最後まで解決できるかだけでなく、解決できなかったときに人間へどう引き継ぐかも、今後のAI電話対応を評価するポイントになります。
AIで人を減らすだけでなく、必要なところに人を増やす選択もある
AIを導入すると、人間のオペレーターを減らしてコストを下げる方向に目が向きがちです。しかし私は、AIで処理できる問い合わせを任せたうえで、人にしか対応できない問い合わせには十分な人数を配置する考え方も必要だと思います。
最近は、メールで問い合わせを受け付けていなかったり、電話サポートが平日の昼間だけだったりするサービスもあります。平日に仕事をしている人にとっては、困ったことが起きても問い合わせる時間を作ること自体が難しくなります。
ようやく時間を作って電話しても、オペレーターにつながるまで30分、1時間と待たされれば、利用者の負担はさらに大きくなります。
AIで簡単な問い合わせを自動化できるなら、その分だけ人を減らすのではなく、複雑な問い合わせへの対応や、夜間・土日など人手が必要な時間帯へ人員を回すという使い方もできるはずです。
AI導入によって企業側の効率が上がるだけでなく、これまで連絡しにくかった時間帯でも相談でき、人間に対応してもらう必要があるときには長時間待たずにつながる。私は、そうした方向に電話サポートが変わってほしいと思います。
AI電話対応で利用者が本当に期待したいこと
AI電話対応で利用者の負担は本当に減るのか
AI電話対応が普及したとき、利用者にとって大切なのは、どれだけ多くの業務を自動化したかではありません。
問い合わせたいときに連絡でき、AIで対応できる内容はその場で処理され、人間の判断が必要ならスムーズに引き継がれる。最終的に問題を解決するまでの負担が減ってこそ、AIを導入した意味があると私は思います。
AIと人間のどちらが対応するかではなく、利用者が以前より困らずに問い合わせできるようになったか。AI電話対応では、そこまで含めて考える必要があります。
Gemini 3.8 Liveで確認したいのは実際の導入後の体験
- 複雑な問い合わせを最後まで処理できるか
- AIでは解決できない内容を人間へ引き継げるか
- 同じ説明を最初から繰り返さずに済むか
- 平日昼間以外でも問い合わせしやすくなるか
- オペレーターにつながるまでの待ち時間が短くなるか
AI電話対応まとめ
- Gemini 3.8 Liveは音声対応向けAI
- 会話しながら外部ツールを利用できる
- 複雑な問い合わせにも対応できる可能性がある
- 日本語を含む97言語に対応している
- 音声入出力10分なら約0.23ドル
- 約0.23ドルはAIモデルの利用料
- 企業システムとの連携で対応範囲が広がる
- AIに任せる処理は企業側が決める
- 人間への引き継ぎ方法も重要になる
- AI導入後も必要な場所には人員を配置する
- 受付時間や待ち時間の改善も期待される
- 利用者に重要なのは問題を解決できること

