「源内」は、政府職員が文章作成や翻訳、資料検索などに生成AIを使うため、デジタル庁が内製した共通システムです。全府省庁を対象に大規模実証が始まり、国会答弁の調査・分析機能はすでに提供され、草案づくりを支える専用AIは開発中です。この記事では、源内でできること、情報管理と出力確認の注意点を整理します。複数のAIが草案作成と確認を分担し、統括AIが全体をまとめる仕組みへの期待や、大規模実証で注目したい点も紹介します。
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政府職員が使う生成AI「源内」とは
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文章作成や資料検索を一つの画面で使える
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源内でできることと情報の扱い
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資料探しや下書きを先に進める
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安全な入口でも中身の確認は必要
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国会答弁は調査から草案まで
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源内で行政の仕事はどこまで変わるか
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答弁づくりで人の確認をどこまで減らせるか
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たくさん使われれば成功、ではない

政府職員が使う生成AI「源内」とは
文章作成や資料検索を一つの画面で使える
源内は、政府職員が業務用の生成AI機能を共通の画面から選んで使えるシステムです。デジタル庁が内製し、文章作成や翻訳、文字起こし、資料検索などに対応しています。
名前には二つの由来があります。「Generative AI」を縮めた「Gen AI(ゲンナイ)」という読み方と、江戸時代の発明家・平賀源内です。生成AIによるさまざまな発明が集まる場にしたい、という願いが込められています。
デジタル庁は2025年5月に源内を庁内へ試験導入しました。2026年5月からは、本府省庁の全職員と地方機関職員の一部、約18万人を対象に大規模実証を進めています。約18万人というのは、使えるようにする対象人数です。すでに全員が使っているわけではありません。
今回の実証では、源内を実際の仕事でどこまで役立てられるか、どのような課題があるかを確かめます。2027年度からは、大規模実証の結果を踏まえて本格利用を開始する方針です。各府省庁は予算を確保した範囲で業務利用を進めます。では、源内を使うと、職員の仕事は具体的にどう変わるのでしょうか?
源内でできることと情報の扱い
資料探しや下書きを先に進める
源内を使う場面をイメージしてみます。会議の音声ファイルを文字に起こす。外国語の資料を日本語にする。必要な法制度や過去資料を探し、文章のたたき台を作る。これまで職員が一つずつ進めていた下準備を、一つの画面からAIへ頼めます。
白い画面を前に最初の一文で手が止まる時間や、大量の資料を一件ずつ開く手間を減らせるかもしれません。AIが先に材料をそろえれば、職員は内容を整えたり、関係者と話し合ったりする作業へ早く移れます。
源内は、行政の仕事を丸ごと自動で終わらせるシステムではありません。時間のかかる準備を先へ進め、人が考えるための余白を作る道具です。一般的な文章作成のほか、法制度や過去の国会答弁を探す行政向けの機能も用意されています。
安全な入口でも中身の確認は必要
源内について「国産AI」と聞くと、中身がすべて日本製だと思うかもしれません。デジタル庁が内製したのは、職員がAIを使う環境と行政向けのアプリです。汎用チャットの回答生成には、AWSやAnthropicの基盤モデルも使われています。
一方、国産基盤モデルは2026年度の大規模実証で5社のモデルを試用する計画で、このうち3モデルは国産クラウド上で稼働し、9月から11月にA/Bテストによる評価が予定されています。日英翻訳では、Preferred NetworksのPLaMo翻訳がすでにデジタル庁内の源内で利用されています。
入力できる情報にも決まりがあります。デジタル庁では「機密性2」と呼ばれる情報まで扱えます。これは秘密文書ではないものの、漏えいすると国民の権利や行政の仕事に支障が出るおそれのある情報です。他府省庁で何を入力できるかは、それぞれのルールで決まります。
安全に配慮したシステムでも、入力ミスやAIの誤答までは消えません。情報を守る仕組みと、AIが返した内容を確かめる作業は別です。
国会答弁は調査から草案まで
国会答弁を作るには、質問に答える前の調査が欠かせません。過去に何と答えたのか。どの資料が根拠になるのか。政府の方針と食い違っていないか。こうした確認のために多くの資料をたどります。
源内では、過去の答弁を検索・分析する機能をすでに使えます。さらに、質問の読み取りから草案づくりまでを一続きで手伝う専用AIも開発中です。
計画されているのは、国会質問の内容を解析し、過去答弁や根拠資料を検索して草案を生成する機能です。さらに、続いて出そうな質問を予測し、過去答弁との矛盾も検証します。こちらはまだ完成済みではなく、源内で試験提供される予定です。
源内で行政の仕事はどこまで変わるか
答弁づくりで人の確認をどこまで減らせるか
現在の政府方針では、AIが作った草案の正確性や根拠を職員が確認し、採用するかを決めます。国会や国民へ内容を説明する責任も人に残ります。ここから先は政府が発表した内容ではなく、今後こうなればよいと私が期待していることです。
普段からAIで記事を作っている立場としては、人が関わる割合をできるだけ減らしたいので、草案の段階で誤りをほぼなくす仕組みが必要です。そのためには、一つのAIにすべてを任せるより、複数のAIを同時に動かし、違う役割を受け持たせる方法も考えられます。
たとえば、答弁の草案を作るAI、数字や法令を確かめるAI、過去の答弁と照らし合わせるAI、誤解を招く表現を探すAIに役割を分けます。さらに、各AIへ仕事を振り分け、全体をまとめる「統括AI」を加えます。
統括AIは、各AIから返ってきた結果をまとめるだけではありません。法令や会議録などの一次資料と草案を照らし合わせ、草案を作ったAIとは別のAIにも内容を確認させます。食い違い、根拠不足、確認漏れが見つかれば、担当したAIへ再調査や修正を指示します。このやり取りを繰り返して問題をできる限り減らし、最後に根拠資料と結び付いた一つの草案へまとめます。
この仕組みでも誤りを完全になくせるとは限らないため、人による草案の最終確認は残ります。それでも、AIが進化し、AI側で確認と修正を重ねて草案の完成度を高められれば、人は過去の答弁だけでは決められない新たな政策判断へ、より多くの時間を使えるようになるでしょう。
たくさん使われれば成功、ではない
政府は大規模実証で、利用開始率や月間利用率、職員1人当たりの利用回数を確認するとしています。まず見るのは、源内を使い始めた人がどれくらいいるか、使い続けられているかです。
ここからは、政府が発表している内容とは別の話です。今回の実証を見るうえで、注目したいのは次の3つです。
一つ目は、答弁や資料を作る時間が減ったか。二つ目は、AIの出力を手直しする負担が増えていないか。三つ目は、完成した文書の質を保てたかです。
利用回数が多くても、手直しに時間がかかり、文書の質が下がっていれば、仕事が良くなったとは言えません。AIのおかげで作業が早く終わり、必要な品質も保てて初めて、人手に余裕が生まれます。そこで生まれた余力は、人手不足の部署を手伝ったり、必要に応じて複数の部署に関わったりするなど、柔軟な働き方につなげられたらよいと思います。
生成AI「源内」大規模実証のまとめ
- 源内は政府職員向け生成AIシステム
- 名前はGen AIと平賀源内に由来
- 約18万人は実証対象の規模
- AIが資料探しや下書きを手伝う
- 内製環境でも海外企業のAIを使う
- 入力範囲は各府省庁のルール次第
- 答弁の検索・分析機能は利用可能
- 答弁の草案支援は開発中
- 答弁の採否と説明は人が担う
- 複数AIと統括AIの仕組みに期待
- 仕組みが実現すれば最終確認と政策判断へ
- 政府は利用率や利用回数を確認
- 時間・手直し・文書の質にも注目
- 余力を柔軟な働き方へ生かしたい

