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2025.08.25

ぼーっとするのが好きな人と退屈に感じる人:あなたはどっちタイプ?

韓国で「ボーっとする選手権」という大会が開催され、パンクロッカーが優勝したそうです。90分間、何もせずにじっとしていることが求められるこの大会。現代社会では「何もしない時間」への見方が人によって全く違います。ぼーっとすることが大好きな人がいる一方で、時間の無駄だと感じる人も多くいます。

目次
  • ぼーっとするメリットって何?
  • ぼーっとするって退屈!
  • 実は脳にとって最高のご褒美だった
  • スマホのせいで集中できない
  • スマホ以外にも"ぼーっとする時間"を奪うもの
  • 週10分でも効果があるって本当?
  • 忙しくてもできる、ぼーっとタイムの取り入れ方
  • マインドフルネス瞑想という選択肢
  • 続けると人生が変わる理由
  • よくある質問

ぼーっとするのが好きな人と退屈に感じる人:あなたはどっちタイプ?【最近話題のニュース】イメージ画像 作成:junk-word.com
ぼーっとするって意外と大切・・・AIによるイメージ画像 作成:junk-word.com

ぼーっとするのが好きな人と嫌いな人

あなたは何もせずにじっとしているのが心地よいですか?それとも、常に何かをしていたいタイプでしょうか?

ぼーっとするメリットって何?

ぼーっとする時間を心地よいと感じる人たちがよく言うのは「思考の整理ができる」「アイデアが浮かぶ」ということ。実際に、シャワーを浴びている時や散歩中に突然良いアイデアを思いついた経験はありませんか?

脳科学的にも、この感覚には根拠があります。何もしていない時に活性化する「デフォルト・モード・ネットワーク」という脳の神経回路が、創造性や感情処理、問題解決に関わっていることが分かっています。

このネットワークは、脳がエネルギーを節約しているわけではなく、むしろ大量のエネルギーを使いながら働いています。つまり、私たちが「何もしていない」と感じているときも、脳の中では過去の記憶や体験が自然につながり合い、新しい発想を生み出す準備が進んでいるのです。

例えば、勉強中に難しい問題で行き詰まったとき、一度机を離れて気分転換すると、ふと答えがひらめくことがあります。これは、デフォルト・モード・ネットワークが裏で情報を整理してくれているからだと考えられます。

また、デフォルト・モード・ネットワークは「未来を想像する力」や「他人の気持ちを理解する力」にも関わっています。ですから、ぼーっとする時間は休憩だけではなく、自分の心を整えたり、人との関わり方を深めたりする大切な役割も果たしているのです。

このように、集中している時間と同じくらい、意識的に「ぼーっとする時間」を持つことは脳にとって必要不可欠であり、効率的に学んだり、創造的に考えたりするための土台になっていると考えられます。

ぼーっとするって退屈!

一方で、「何もしない時間」を苦手だと感じる人も意外と多いようです。

バージニア大学などが行った研究では、幅広い年齢層の被験者に「数分間、何もせず、ただ自分の考えと向き合ってください」とお願いしました。すると、多くの人がこの時間を「楽しくない」「退屈だ」と答えたのです。むしろ、音楽を聴いたり、スマホを触ったりと、何か別のことをしている方がずっと心地よいと感じていました。

さらに驚くべき実験結果もあります。参加者に「何もせずに考えるだけの時間」と「軽い電気ショックを自分で与える時間」のどちらかを選ばせたところ、なんと多くの人が電気ショックを選んだのです。退屈を避けるためなら、痛みすら受け入れてしまうというわけです。しかも、この傾向は男性の方が女性より強く見られました。

この研究からわかるのは、私たちの心は「何もしない状態」をとても嫌うということ。ぼーっと過ごすのは意外と難しく、人はつい、何かをして退屈を埋めたくなってしまうのです。

実は脳にとって最高のご褒美だった

脳科学の知見によると、デフォルト・モード・ネットワークは脳内の内側前頭前野や後帯状皮質、楔前部などの領域が連携し、過去の記憶の整理、未来の計画の立案、自我の維持などを担う重要なネットワークとされています。

ソウル大学人類学部の准教授は「刺激が多すぎる現代社会においては、自分の内面や感情を振り返る時間を持つことが、思考や行動を制御する助けとなる。

このプロセスはストレスに関連するホルモンを減らし、長期的には、不安やうつを軽くする効果を発揮する」と話しています。ぼーっとする時間は、脳にとって必要不可欠なメンテナンス時間なのです。

ここがポイント!

デフォルト・モード・ネットワークは車のアイドリング状態に似ています。エンジンを完全に切ってしまうと再始動に時間がかかりますが、アイドリング状態なら即座に動き出せます。脳も同様に、常に次の活動に備えて準備状態を保っています。

現代人が「ぼーっとする時間」を失った理由

昔は電車で他の乗客を眺めたり、雲の形を見つめたりする時間が自然にありました。しかし今では、そんな「隙間時間」はすべてスマートフォンに奪われています。

スマホのせいで集中できない

現代人のスマートフォン依存は深刻化しており、スマホを触る回数は10分に1回、タッチ回数は1日平均で2,600回以上に達するという調査報告もあります。

「待ち時間」「移動時間」「休憩時間」は、すべてスマートフォンによって埋め尽くされました。スマートフォンは脳から「何もしない時間」を奪い、自然にぼーっとする機会を奪っています。

東北大学の研究グループによる小児の縦断研究では、頻繁なインターネット習慣のある子どもで、数年後の言語性知能の伸びが相対的に小さく、脳の灰白質・白質の広範な領域の容積変化が相対的に小さい傾向が報告されています。つまり、スマートフォンの過度な使用が脳の発達に影響し、結果として集中力や思考力の低下につながる可能性があるのです。

スマホ以外にも"ぼーっとする時間"を奪うもの

現代人が「ぼーっとする時間」を失った理由は、スマートフォンだけではありません。まず大きな要因は、過密スケジュールです。仕事や学業に加え、家事や育児、習い事や資格取得の勉強などで1日が細切れに埋め尽くされ、意図的に休まないと空白が生まれにくくなっています。

さらに、情報過多の社会も無視できません。電車の中ではデジタルサイネージや広告が目に入り、街を歩けば絶えず音や映像にさらされます。静かに過ごせる環境そのものが少なくなっているのです。

また、近年の「効率化ブーム」も一因です。通勤時間にはオンライン講座を聞き、家事中にはポッドキャストを流すなど、「隙間時間を最大限に活用する」ことが美徳とされる風潮が広がっています。その結果、頭を空っぽにする時間はますます奪われてしまいました。

このように、スマホに限らず社会全体の仕組みや価値観の変化が、現代人から自然な「ぼーっとする時間」を遠ざけているのです。

ぼーっとする時間はどのくらい必要?

忙しい現代人にとって気になるのは「どのくらいの時間が必要なのか」という点です。実は、1日のうちのわずかな時間でも効果があることが分かっています。

週10分でも効果があるって本当?

デフォルト・モード・ネットワークの研究によると、1日のうち数分でも意図的に「何もしない時間」を作ることで脳の疲労回復効果が得られるとされています。「ボーっとする選手権」の優勝者も、週に10分、できれば毎日5分でも意識的にぼーっとする時間を作ることが効果的だと語っています。

最初は「何もしない」ことに罪悪感を感じるかもしれません。思考がぐるぐると巡り、不安ややり残したタスクが次々と浮かんできます。しかし、そうした状態は徐々に落ち着いていき、考えが整理され、自分が抱えている問題は思ったほど重大なものではないと気づくこともあるのです。

忙しくてもできる、ぼーっとタイムの取り入れ方

ぼーっとする時間は、特別な場所や道具がなくても大丈夫です。通勤電車でスマートフォンを見ずに窓の外を眺める。昼休みに屋上で空を見上げる。お風呂でゆっくり湯船に浸かる。コーヒーを飲みながら、ただ味わうことに集中する。こうした小さな工夫で十分に効果を得られます。

さらに、エレベーターを待つときや信号待ちのとき、誰かとの待ち合わせで早く着いたときなど、日常の隙間時間も有効活用できます。スマホに手を伸ばす前に、まずは周囲を見渡して、何も考えずに過ごしてみましょう。

大切なのは「何かをしなければならない」という考えを一時的に手放すこと。生産性を求めず、成果を期待せず、ただその瞬間に身を委ねることがポイントです。わずかな"ぼーっとする時間"が、あなたの脳に新しいエネルギーとひらめきを与えてくれるはずです。

マインドフルネス瞑想という選択肢

自然にぼーっとする時間を作るのが難しい場合には、「マインドフルネス瞑想」という方法も役立ちます。これは、意図的に「今この瞬間」に注意を向ける練習です。過去や未来のことを考えるのを一度脇に置き、呼吸や体の感覚など「いま目の前にあること」だけに意識を集中させます。

やり方はとてもシンプルです。椅子や床に楽な姿勢で座り、目を閉じてゆっくりと呼吸を感じます。途中で雑念が浮かんできても、「あ、考えごとをしていたな」と気づき、そっと呼吸に意識を戻すだけ。この繰り返しが心を落ち着かせ、ストレスを和らげる効果につながります。

実際にマインドフルネス瞑想を取り入れている人の多くが「気持ちが落ち着いた」「集中力が高まった」と実感しており、複数の調査でも効果が報告されています。短時間でもリラックス効果が得られる科学的に裏付けられた方法ですが、これは「自然にぼーっとする時間」とは少し違い、より意識的で能動的に心を整える実践になります。

続けると人生が変わる理由

定期的に「何もしない時間」を持つことで、日常に流されがちな現代人が自分自身を取り戻すことが可能に。

息をつく間もない日々のルーティンから一時的に離れることで、本当に大切なことは何か、自分は何を求めているのかを見つめ直すきっかけになります。

ぼーっとしている時間に、ふと子供の頃の夢を思い出したり、忘れていた友人のことを思い出したり、新しい趣味に興味を持ったりすることがあります。忙しい日常では決して浮かんでこない大切な気づきですね。

ここがポイント!

ぼーっとする時間は「思考の断捨離」のような効果があります。不要な心配事や雑念が整理され、本当に大切なことが見えてきます。これが継続的な人生の質の向上につながります。

よくある質問

Q

職場でぼーっとしていると「サボっている」と思われそうで不安です。どうすれば良いでしょうか?

A

確かに職場では「何もしていない時間」への視線が気になりますよね。おすすめは「見えない場所での実践」です。トイレ休憩時に1分間深呼吸をする、階段を上る時にスマホを見ずに歩くことに集中する、昼休みに外の空を眺めるなど、自然に見える形で取り入れてみましょう。また、企業でもマインドフルネスを導入する会社が増えているので、将来的には理解が広がると期待されます。

Q

ぼーっとしようとするとついスマホに手が伸びてしまいます。どう対策すれば良いですか?

A

スマホ依存を断ち切るのは現代人の共通課題です。物理的な距離を作ることが最も効果的で、別の部屋に置く、カバンの奥にしまう、機内モードにするなどの方法があります。また、「ぼーっとタイム」を宣言して周囲に協力してもらったり、代替行動として手を組んで座る、コーヒーカップを両手で包むなど、手を使う動作を取り入れると自然にスマホから離れられます。

Q

子どもにもぼーっとする時間は必要ですか?習い事や勉強で忙しい毎日ですが...

A

実は子どもこそ「ぼーっとする時間」が重要です。本文で説明したように、前頭前野の発達には適度な休息が必要で、常に刺激を受け続けると脳の成長が阻害される恐れがあります。習い事の合間に10分間何もしない時間を作る、移動中は景色を眺める、寝る前に今日の出来事をぼんやり思い返すなど、小さな工夫から始めてみてください。創造性豊かな大人に育つためにも大切な時間です。

Q

ぼーっとしている時に嫌なことばかり思い浮かんでしまいます。これは良くないことでしょうか?

A

嫌なことが浮かんでくるのは自然な現象で、脳が記憶を整理している証拠です。重要なのは、それらの思考に「とらわれすぎない」こと。嫌な記憶が浮かんできたら「あ、今そのことを考えているな」と客観視し、無理に消そうとせずに雲が流れるように通り過ぎるのを待ちましょう。どうしても辛い場合は、意図的に呼吸に意識を向けたり、周囲の音に耳を傾けるなどして、外部の感覚に注意を移すと楽になります。

Q

ぼーっとする効果が実感できません。どのくらい続ければ変化が感じられますか?

A

効果の実感には個人差がありますが、多くの人は2週間程度で「なんとなく気持ちが楽になった」程度の変化を感じ始めます。劇的な変化を期待せず、「今日は5分間スマホを見ずに過ごせた」「電車で窓の外を眺めることができた」など小さな成功を積み重ねることが大切です。効果を測る指標として、睡眠の質、集中力の持続時間、イライラの頻度などを記録してみると変化に気づきやすくなります。

ぼーっとする時間の重要性・まとめ

  • 韓国でぼーっとする選手権が開催された
  • 好きな人は思考整理効果、嫌いな人は退屈と感じる
  • デフォルト・モード・ネットワークが創造性を高める
  • 何もしない時も脳は重要な作業を行っている
  • 電気ショックを選ぶほど退屈を嫌う人が多い
  • ぼーっとする時間は脳のメンテナンス時間
  • スマホが1日2600回以上の接触で時間を奪う
  • 過密スケジュールや効率化ブームも原因
  • 週10分、毎日5分でも効果がある
  • 通勤時間や待ち時間を活用できる
  • マインドフルネス瞑想という選択肢もある
  • 継続すると人生の質が向上する
  • 思考の断捨離効果で本当に大切なことが見える