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2025.05.09

夢の大当たりが一転、悪夢に...知らなかったでは済まされないギャンブルと税金の落とし穴

ギャンブル関連のニュースが話題になっています。名古屋地裁での公判によると、岐阜市に住む51歳の男性がオートレースで約3億6500万円という大当たりを出したのに、これを申告せずに約7700万円もの所得税を払わなかったとして起訴されたんです。初公判で被告は起訴事実を認めています。検察側の話によれば、この男性は2023年5月にオートレースで大金を当て、税理士さんから「申告が必要ですよ」と言われていたのに、納税したくなくて申告しなかったとのこと。こういったギャンブルの高額当選と税金の問題って、実は私たちにも無関係じゃない身近な話かもしれません。

目次
  • 高額な払い戻しは申告が必要
  • ギャンブルの払い戻し金は「一時所得」
  • 確定申告の必要性と期限
  • どうやって脱税はバレるの?人間心理が引き起こす"失敗"
  • 公営ギャンブルの仕組みと税収

オートレース場 夢の大当たりが一転、悪夢に...知らなかったでは済まされないギャンブルと税金の落とし穴【経済ニュース】
オートレース場

ギャンブル収入も課税対象!

高額な払い戻しは申告が必要

「ギャンブルで儲けたお金に税金なんて払いたくない!」そんな気持ちは分かりますが、法律の世界ではそうはいきません。でも考えてみてください。宝くじの1等が3億円当たったら?競馬で数千万円の払戻金を得たら?嬉しい反面、「これって申告するの?」と頭をよぎるはずです。

今回の事件では、約3億6500万円もの大当たりに対して7700万円の税金。計算してみると約21%の税率になります。「えっ、たった2割ちょっとなら...」と思いがちですが、7700万円という絶対額を考えると、これはマイホームが買える金額。「隠しておこう」という誘惑にかられるのも無理はありません。しかし、見つかったときのリスクはそれ以上に大きいんです。

国税局は高額な臨時収入に対してはかなり厳しい目を向けています。特に最近は、銀行取引や資産の動きが電子的に記録される時代。「誰にも言わなければバレないだろう」という考えは通用しなくなってきています。「バレたらどうしよう」というストレスを抱えるよりずっと健全です。

知っておきたい税金の基礎知識

ギャンブルの払い戻し金は「一時所得」

日本では、競馬やオートレースなどの公営ギャンブルでの当たり金は「一時所得」という扱いになります。一時所得というのは、定期的に得るお金じゃなくて、臨時的に入ってくるお金のことです(ただし、お仕事の報酬や土地・建物を売った代金は別扱い)。

ギャンブルの払戻金は「一時所得」に区分されます。課税対象は(払戻金総額-当たり車券の購入額-50万円)÷2 で計算し、外れ車券の購入費は控除できません。

例えば、1年間で払戻金が1億円あり、その的中車券の購入額が3000万円だった場合、(1億円-3000万円-50万円)÷2=3475万円が課税対象です。

ここがポイント!

一時所得の特別控除額50万円は、すべての一時所得を合計した後で1回だけ適用されます。つまり、年内に複数の賞金や払戻金を得た場合でも、控除できるのは合計で50万円まで。年をまたぐ場合は翌年分も50万円控除できるので、高額な払い戻しが年末近くなら「申告のタイミング」も検討する価値あり!

確定申告の必要性と期限

ギャンブルの払戻金などの一時所得がある場合、確定申告が必要になることがあります。普通にサラリーマンをしていても、一時所得とその給料を合わせた額から各種控除を引いた金額が一定額を超えると、確定申告が必要になってくるんです。

確定申告の期限は毎年2月16日から3月15日まで。この期間に申告と納税をしないと、本来納めるべき税額に加えて、延滞税や無申告加算税なんていう余計なお金まで払わなきゃいけなくなります。

今回のケースでは、被告はわざと申告しなかったので、脱税として刑事罰の対象に。「知らなかった」じゃ済まないのが税金の世界なんですね。

どうやって脱税はバレるの?人間心理が引き起こす"失敗"

「窓口で現金払いしたら、税務署には絶対にバレないよね?」----こんな会話を聞いたことがある人も多いのでは? でも、今回の事件を見れば分かるように、実はそうとも限らないんです。では、3億円超という大金を申告せずに済ませようとした場合、どうやってバレるのでしょうか?

公営ギャンブルの払戻金はネット投票なら履歴が残りますが、窓口現金取引でも200万円を超える大口現金の受払いでは本人確認を求められる場合があるため、近年は匿名性が低下しています。

もし今回の被告が税理士に相談せず、窓口で現金を受け取って自宅の金庫に黙って保管し、誰にも一切話さなければ...理論上は「完全犯罪」だったかもしれません。では、なぜ多くの脱税が発覚するのでしょう?その答えは意外にも「人間の心理」にあります。

「3億円当てた!」という大きな喜びを、あなたは本当に誰にも話さずにいられますか?人間は嬉しいことがあると、それを誰かに伝えたくなる生き物です。「実は...」と親友だけに話したつもりが、その話は少しずつ広がっていき...。また、税理士に「ちょっと相談したい」と思ってしまうのも無理はありません。今回の被告も「本当は申告した方がいいのかな」という良心の呵責から税理士に相談したのかもしれません。しかしその行為が、結果的に「知らなかった」という言い訳を封じる決定的な証拠になってしまったのです。

さらに、大金を手に入れたことで生活が一変するのも自然なこと。「ちょっとだけ贅沢しよう」と思って高級レストランに通い始めたり、「これくらいなら」と新車を購入したり...。無職だった人が突然、高価な買い物をするようになれば、周囲は必ず気づきます。「あれ?この前まで就職活動してたのに、急に外車乗り始めたぞ?」「いつもコンビニ弁当だったのに、最近はずっと高級店で飲んでるよね?」こういった変化は、意外と周囲の目に留まりやすいものです。

お金の使い方だけではありません。突然の大金は人の性格まで変えることも。普段は慎重派の人が、「もう心配する必要ないし」と大胆になったり、逆に「バレるかも...」と極端に神経質になったり...こうした行動の変化も周囲の人には不自然に映ります。人によっては、羨ましさや妬みから通報する人もいるかもしれません。

また、高額な現金を銀行に預け入れる場合、金融機関は「疑わしい取引」として当局に報告する義務があります。かといって、「じゃあ現金で持っておこう」と何千万円もの現金を家に置いておくストレスも相当なもの。「もし盗まれたら」「火事になったら」というプレッシャーから解放されたくて、結局銀行に預けてしまう人も少なくないでしょう。

このように考えると、「現金取引だからバレない」というのは理論上の話であって、実際には「人間だから」という要素が大きく作用するのです。だからこそ、最初から正直に申告して、堂々と使える「クリーンなお金」にしておくことが、精神的にも経済的にも結局は得策かもしれませんね。

ここがポイント!

脱税発覚時のペナルティは過去5年以内に重加算税等を課されていると最大10%上乗せ!また、3月15日の申告期限後でも税務調査前の自主申告なら、無申告加算税が15%→5%に軽減。発覚に怯えるより、早めの修正申告で負担を軽くするのが賢明です。

公営ギャンブルの仕組みと税収

日本の公営ギャンブルには、競馬、競輪、オートレース、競艇(ボートレース)などがあります。これらは全部、法律に基づいて運営されていて、その収益の一部は国や地方自治体のお財布に入ります。

公営ギャンブルの売上は、おおむね70%前後が払戻金に充てられ、残り(オートレースの場合は最大約30%)が運営経費や地方財政への繰入金などに充当されます。

今回の事例に出てきたオートレースは、1950年に公営競技として認められた歴史ある公営ギャンブルで、バイクで走るレースです。全国に5つのオートレース場があって、勝敗を予想して車券を買います。「モトロトBIG」などの投票方式では、最高6億円の払戻金が当たる可能性もあるんです。

ちなみに「モトロトBIG」では過去に6億円の配当が2回でていて、競馬ではJRAの「WIN5」で約5億5千万円、競輪の「チャリロト」では約9億円の払い戻しがあったそうです。なんとも凄い金額ですが、その裏には外れた人が山のようにいることを忘れてはいけません。賭け事はほどほどに・・・。

ギャンブルの払い戻しと税金のまとめ

  • 公営ギャンブルの払戻金も課税対象
  • 男性は「申告が必要」と知りながら脱税
  • ギャンブル収入は「一時所得」に分類
  • 特別控除額50万円まで適用可能
  • 計算方法:(払戻金総額-当たり車券の購入額-50万円)÷2
  • 確定申告期限は2/16~3/15まで
  • 期限後は追徴課税やペナルティ発生
  • 現金取引は匿名性が高い
  • 人間心理が脱税発覚の原因に
  • 生活の変化が周囲に気づかれやすい
  • 銀行入金も「疑わしい取引」報告対象
  • 正直な申告が精神的にも経済的にも得策