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加曽利貝塚(博物館)は小中学生の自由研究に最適!テーマも簡単に見つかります

2022年7月8日 加曽利貝塚に行ってきました。コロナ禍で2年以上外出を自粛していたこともあり、お出かけは久しぶりです。

さすがに旅行をする気にはなれませんが、「基礎から学ぶ日本史」の大幅リニューアルの取材も兼ねて、自宅から2時間弱で行ける加曽利貝塚を選びました。

加曽利貝塚は千葉県千葉市若葉区桜木にある縄文時代の遺跡です。私が学生のころは貝塚は古代人の「ごみ捨て場」と習いましたが、人や犬の骨が発見されていることから、現在では単なる「ごみ捨て場」ではなく、宗教的な場所としての意味合いもあるのでは?と推測され注目を集めています。

貝塚は「加曽利貝塚縄文遺跡公園」の中にあります。「加曽利貝塚博物館」や「復元集落」「竪穴住居跡群観覧施設」も併設されていて、すべて無料で見学することができます。

千葉県加曽利貝塚 貝塚層の断面を間近で見ることができます

加曽利貝塚には「北貝塚」と「南貝塚」2か所の見学施設があり、どちらでも貝塚を見ることができます。北貝塚は発掘されたままの断面で、南貝塚ははぎ取った断面なのだそうです。パンフレットに書いてありました。

写真左は北貝塚です。施設の中に入ると土の匂いがします。けっこうワイルド!ガラス越しではありますが、土中にある貝塚の断面を間近で見ることができます。

ハマグリ、アサリ、イボキサゴ、シオフキ、マガキ、アカニシ、アラムシロ、カガミガイ、オオノガイなど、たくさんの貝殻が捨てられていることにびっくり!「縄文時代の人たちって、いろいろな種類の貝を食べていたんだな~」と実感しました。

加曽利貝塚(かそりかいづか)のイボキサゴ

見学するときはスマホやタブレットを持参しましょう。肉眼だとはっきり見えない部分も、撮影した画像を拡大することで細部まで確認できます。

加曽利貝塚で一番多く見つかる貝はイボキサゴです。イボキサゴはとても小さいのでよく見えないのですが、このように拡大するとぎっしり詰まっている様子がわかります。

パンフレットのコラムにはイボキサゴに関する豆知識が載っていますよ。

貝塚からは70を超える種類の貝が見つかっているそうですが、貝だけでなくイノシシやシカの骨も埋まっているので探してみてください。

復元集落・縄文時代の竪穴住居

加曽利貝塚 復元された縄文時代の竪穴住居

南貝塚の奥には縄文時代の竪穴住居を復元した「復元集落」があります。実際に発掘された場所に同じ大きさの竪穴住居を復元したそうです。

2棟建っていますが、入り口が開いていたのは1棟のみでした。中に入ってみると住居の内部は円形で中央の煮炊きする場所(炉)には土器が置いてあり、横にはまきが積んでありました。

柱の位置や梁(はり)、桁(けた)、垂木(たるき)と呼ばれる部材の組み方など、内部の構造がわかるのでためになります。しっかりしたつくりだなと感心しました。

余談ですが、竪穴住居の中に入る場合は虫よけスプレーが必須です。暑い時期は虫がたくさん飛んでいます。入口付近は特に多くて耳元で「ぶ~ん」という大きい音が聞こえたので、一瞬入るのをためらいました。

虫よけスプレーを持っていかなかったので数か所刺されました。夏場に見学するときは手足にかけてから入るようにしましょう。

加曽利貝塚博物館

正面入り口から道なりに直進すると「加曽利貝塚博物館」が見えてきます。外観は休憩所?と思うほどチープだったので期待せず中に入ったのですが、奥に続く通路を進むとびっくり!土器や石器などが所狭しと並べられ「おおっ!」と思わず声をあげてしまいました。予想外の展開にテンションMAX!

加曽利貝塚博物館 出土した土器や石器、土偶、装飾品、骨などを展示

遺跡の名前のついた縄文時代の土器(加曽利E式、加曽利B式)をはじめ、土偶、石器、骨角器、人骨や犬の骨などが展示されています。挿絵や図、写真を使った解説が丁寧でわかりやすいのも好感が持てます。

解説を読みながら展示品を鑑賞していたらあっという間に1時間が経過していました。もっと見学したかったのですが帰りの時間もあるので、後ろ髪を引かれる思いで博物館をあとにしました。

加曽利貝塚のキャラクター「かそりーぬ」のキーボルダー

無料でこれだけの展示品を鑑賞できるのはありがたいです。とても勉強になったので寄付をしようと募金箱を探したのですが見つかりませんでした。かわりに博物館の出入り口に設置されているガチャガチャを回してみることに!

出てきたのは加曽利貝塚のキャラクター「かそりーぬ」のキーホルダーでした。土器を頭に乗せイボキサゴの首飾りをしています。シュール(笑)。遺跡からは埋葬された犬の骨が見つかっていて縄文人にとって犬は狩猟のパートナーであり生活に欠かせない存在だったようです。わんこが好きなのでこのキーホルダーはけっこう気に入ってます。

自由研究のテーマ

加曽利貝塚は小学生、中学生の自由研究に最適です。堆積した貝殻の断面を見ることができる施設はそう多くありません。都内には有名な大森貝塚がありますが、「モース博士の銅像」があるくらいで貝塚を見ることはできないのです。

長い年月をかけて堆積した貝塚からは70種を超える貝が確認されています。貝以外にも獣や魚の骨も見つかっていますから、縄文人の食生活を研究テーマにしてみるのもいいでしょう。

加曽利貝塚博物館の縄文土器。自由研究のテーマが簡単に見つかります。

博物館には遺跡から出土した土器や石器などが展示されています。土器は数も多く、縄文早期から後期までの土器を鑑賞することができます。形や大きさもさまざまなので、土器をテーマにすることもできます。

館内には加曽利貝塚の歴史をはじめ、縄文時代に生きた人たちの暮らしに関する解説が掲載されています。遺跡から出土した糞石をもとに「加曽利貝塚のトイレは?」など、縄文時代のトイレ事情に関するマニアックな解説もあります。

博物館を隅から隅まで見学すれば多くの知識や情報を得ることができます。自由研究のテーマには事欠きません。また、博物館では縄文時代や貝塚に関するイベントや講座も開催しています。「縄文土器づくり講座」は小学生に人気があるようです。自分の手で土器をつくるという実体験は自由研究にうってつけですね。

自由研究の資料としても活用できる加曽利貝塚博物館のパンフレット、リーフレット

加曽利貝塚を見学すれば自由研究のテーマは比較的簡単に見つかります。縄文時代に関する書籍もたくさん出版されていますので、博物館で得た情報とあわせればいろいろな切り口でレポートを作成できます。自由研究を何にしようか悩んでいる小中学生には加曽利貝塚をオススメします。

博物館を見学したら必ずパンフレットやリーフレットをもらうようにしましょう。特にパンフレットは16ページもあり、加曽利貝塚発掘の歴史や出土品の情報などが詳しく載っています。無料で手に入れることができます。

夏休みのおでかけに!

加曽利貝塚は夏休みのおでかけにも最適です!

都心から近い
公共交通機関を利用すれば都心から加曽利貝塚まで2時間以内で到着します。

無料
加曽利貝塚は無料なので、家族で行っても余計な費用がかかりません。貝塚の見学も無料、「加曽利貝塚博物館」の入館料や展示物の閲覧も無料です。

広いのでマスク不要
まだまだコロナが心配ですが、「加曽利貝塚縄文遺跡公園」はとても広いです! 博物館や貝塚を見学するときはマスクが必要ですが、それ以外の場所ならマスクなしで過ごせます。

緑が多くストレス解消にもってこい!
「加曽利貝塚縄文遺跡公園」は周囲を木々に囲まれた自然豊かな公園です。緑が多く1周するだけでもストレス解消、運動不足解消になります。

古代史が学べる
「加曽利貝塚博物館」には土器や土偶、石器、装飾品、骨などの出土品が展示されています。 無料とは思えないほどたくさん展示されていて解説も充実しています。講座やイベントも開催されているので古代史を学ぶことができます。

モノレールに乗ろう!
加曽利貝塚への交通手段には自動車やバスもありますが、おすすめはモノレールです。 千葉都市モノレールの「桜木」が加曽利貝塚の最寄り駅になります。千葉都市モノレールはレールが見えない構造なので眼下の景色を楽しむことができます。特に千葉公園の景観は気持ちいいです。千葉駅から乗車すると進行方向左側に千葉公園が見えますのでお楽しみください。モノレールに乗ったことがないお子さんは喜ぶと思います。

加曽利貝塚までのアクセス(公共交通機関)

JR千葉駅、京成千葉駅からバスもしくはモノレールを利用します。バスは「桜木町」バス停、モノレールは「桜木」駅で下車。どちらも降りてから加曽利貝塚まで徒歩15分ほどかかります。

詳細は加曽利貝塚博物館交通アクセスのページをご確認ください。
千葉市立加曽利貝塚博物館交通アクセス

私は京成線とモノレールを利用しました。京成線で津田沼まで行き、京成千葉線に乗り換え(階段で隣のホームに移動)、京成千葉駅で下車。千葉都市モノレールに乗り換え桜木駅で下車しました。

京成千葉駅から千葉都市モノレールへの乗り換えは連絡用通路を通ります。5分もあれば乗り換えることができるので便利ですね!

桜木駅から加曽利貝塚までは徒歩15分ほどの距離です。道順については上記の「加曽利貝塚博物館交通アクセス」のページに写真入りで掲載されているので迷うことはなかったのですが、けっこうな距離を歩いても目印の「セブンイレブン」が見えないので少し不安になりました。

千葉都市モノレール桜木駅から加曽利貝塚への行き方、途中にある「いなげや」が目印

途中に「いなげや」があるので利用する方はもうひとつの目印にしてください。「いなげや」の少し先に「セブンイレブン」があります。「セブンイレブン」手前の横道に入り住宅街を進むと左側に加曽利貝塚が見えてきます。

加曽利貝塚の見学を終えて

今日は1日休暇をとり午前中に上野の東京国立博物館で「日本の考古」を見学してから加曽利貝塚に行きました。到着したのが遅かったので1時間ほど見て帰ろうと思っていたのですが、見所がたくさんあり過ぎて滞在時間は2時間30分超え!あっという間に時間が過ぎました。

夏休み前の平日ということもあり、見学者がほとんどいなかったので、貝塚、竪穴住居、博物館いずれもほぼ独占状態!ゆっくり見学できたので加曽利貝塚を満喫しました。

加曽利貝塚縄文遺跡公園は木々に囲まれ緑がいっぱい!散歩に最適!

木々に囲まれた「加曽利貝塚縄文遺跡公園」を歩くのは本当に気持ちがいいです!コロナ禍でおうち時間が増え、自分が思っていた以上にストレスが溜まっていたようです。短い時間ではありましたが、緑の中を散策したことで心身ともにリフレッシュしました。

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